ダイナリップ
SAINT-GOBAIN PERFORMANCE PLASTICS社製のダイナリップシールは、新しい設計思想に基づいて開発されたオールPTFE製の回転専用リップシールです。 |
ダイナリップシールの特長
高速回転もOKです。
周速33m/secまでOKです(ただし低圧の場合)。
低摩擦です。
低摩擦のPTFEリップはスティックスリップを起こさず、スムースな運転ができます。
広い温度範囲で使えます。
-54℃~+180℃
あらゆる流体に耐えられます。
耐食性に優れたPTFEは殆どの化学薬品に侵されず、ドライ運転(ガスシール)、研磨性のスラリー、粉体などもシールできます。
軸を摩耗させません。
低摩擦のPTFEリップは、より広い面積で軸と接触するため軸を傷めることもありません。
シールボアを傷めません。
ダイナリップシール固定側(ボア側)はPTFEおよびOリングでソフトにフィットして取り付けられます。
自由に寸法設定ができます。
標準品はJISオイルシールに準拠しますが、既存の溝、貴社のご要望に合わせた寸法のシールも製作できます。
ダイナリップシールの構造
ダイナリップシールはPTFE素材から削り出した本体とボア側をシールし回り止めの役割をするOリングから成っています。
シールリップは圧力など使用条件によってシングル、ダブル、ガーダスプリング補強など各種あります。ボア側はOリングシールが標準ですが、耐食ヘリカルスプリングを使ったタイプもあります。
ダイナリップシールの種類
標準的に使われるタイプは次表の通りです。
ダイナリップシールの材質
ボア側シール用Oリング
NBR、シリコンゴム、フロロシリコン、EPR、フッ素ゴムなど。 シール流体によっては、オムニシール用ヘリカルスプリング(17-7PHステンレス、エルジロイなど)も選定できます。
PTFE材質
PTFEの材質は使用条件、シール流体の種類に合わせて選定できます。
材料コード | 色 | 温度範囲(℃) | 適用 |
---|---|---|---|
03(特殊強化剤充填PTFE) | 黒色 | +316~-268 | 耐熱・耐摩耗性良好で、最も汎用性が高い。水・水蒸気の用途に適す。 |
10(特殊プラスチック充填PTE) | 淡褐色 | +316~-268 | 耐熱性、耐摩耗性に優れる。高速運度、水以外の高温流体に適す。相手材を傷つけにくい。 |
36(特殊強化剤充填PTFE) | 暗灰色 | +316~-268 | 耐摩耗性、耐熱性に優れる。スラリー・塗料などの研磨性流体に適す。相手材を傷つけやすいためHRc60以上の硬化処理を必要とする。 |
72(特殊強化剤充填PTFE) | 白色 | +316~-268 | FDA規格に準拠。食品・医療・化粧品などの用途に適す。 |
N6(特殊強化剤充填PTFE) | 黒色 | +316~-268 | 優れた耐摩耗性をもち、高度の用途に適す。相手材を傷つけやすいためHRc60以上の硬化処理を必要とする。 |
ダイナリップシールのハードウェア
軸の材質および硬さ
ダイナリップシールには熱硬化処理したスチールが最適ですが、ニッケルまたはクロムメッキした金属にも使える場合があります。研磨性の流体などの場合はHRc60以上、それ以外の用途ではHRc55以上を推奨いたします。
軸の表面仕上げ
軸の仕上げはRa0.2-0.4を推奨し、連続したツールマークが残らないように加工してください。仕上げが粗いと磨耗が大きくダイナリップシールの寿命が短くなります。
ボア材質および仕上げ
鋳鉄 スチール、アルミなどの金属の他、プラスチックでもOKです。仕上げは1.6a
以上としてください。
軸導入部の面取り仕上げ
取付時にシールリップを保護するため、軸にはテーバーを付けてください。養脱用面取り部は、シールを傷付けない様にバリ、鋭角 ・粗いい加工痕が無いようにしてください。
シールの取り付け
シールにシャフトを通して取り付ける際は、シールリング・リップを傷つけないように注意してください。 |